:農家と住民がつくる「地域コミュニティ」が時代を動かす
農家と住民がつくる「地域コミュニティ」が時代を動かす
目次
◆「産直」運動から「地域コミュニティ」形成運動へ
◆農村の根源的な力を生かす「地域コミュニティ」
◆自給と自治の新しいコミュニティを創る農家の技術
◆老人と子どもの結びつきが地域コミュニティを豊かにする
◆女性の「暮らしづくりの知恵」が新しい生活産業を興す
◆「食」を要に、公的資金も活用して地域をつくる
「産直」運動から「地域コミュニティ」形成運動へ
ピンチをチャンスに変える農家の力が13年ぶりに強まっている。それは『現代農業』の増部となってあらわれている。
13年前の平成6年は、百年に一度という「平成の大凶作」の翌年である。250万トンもの大量のコメの緊急輸入、ウルグアイ・ラウンドの決着に伴うミニマム・アクセス米の輸入開始と関税化への動き、そして食管法廃止とコメ販売を自由にする新食糧法の制定という、日本の農政における大激動の年であった。
この年、国民は輸入タイ米を選択せず、遠い縁を頼っても知り合いのコメ・国産のコメを求めた。それに応えるべく自家用の飯米を融通し、こうして消費者との結びつきを強めた農家はコメの産直、コメ+アルファ産直の大きな流れをつくり出した。同時に農家は、施肥改善による一俵増収運動に取り組み、出来秋には米騒動を沈静化させる大きな力を発揮した。『現代農業』はコメ産直とコメ増収を後押しし、そんななかで大きな増部が実現したのである。
それから13年。EPA/FTAなど農産物市場のグローバル化の潮流が一層強まり、それに対応する戦後農政の総決算とも言われる「経営所得安定対策等大綱」が実施に移された。品目横断的直接支払い、新しいコメ政策、、そして9月には、全農が内金7000円+追加払い方式を決定し、低米価に拍車をかけることになった。・・・